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 クラスが違うのにそれなりに面識もあり、こうして話をしているのは、わたしたちの親友同士が付き合いはじめたからだ。  最初のうちは、お互いに照れてしまってなにを話したらいいかわからない、と泣きついてきた親友の紗菜(さな)を助けるつもりで、邪魔者の自覚はありつつも一緒に帰ることにした。ところが、廣田の親友の汐崎(しおざき)君も彼に同じように悩みを打ち明けていたみたいで、あれよあれよという間に、そこに廣田も加わることになった。  ふたりの親友同士のわたしたちは、早い話がパイプ役。  一ヵ月が経ってもなかなか距離が縮まらないふたりの仲をなんとか進展させようと、一緒に帰って話を盛り上げてみたり、どこかに寄り道したり、最近は四人で過ごすことがめっきり多い。  そういうわけで、廣田とはこの一ヵ月で急激に知り合ったことになる。  最初は正直、なにを話したらいいかわからなくて気まずい空気が流れたりもしたし、もともと廣田がすぐにスマホをいじるような人だったから、そのことに密かに腹も立てたりした。  だって、ほとんど無理やり引き合わされたようなものだったけれど、間が持たないとはいえ、無言でスマホをいじられたら誰だっていい気はしない。
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