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 いくら汐崎君のためとはいっても、わたしだって紗菜のため――もっと言うと、ふたりのためにパイプ役をしているのに、そのパイプ役同士が部活終わりまでお互いに無言ってどうなの? 早く仲良くなれるように作戦とか練ったりしないの? と、最初のうちは紗菜に泣きつかれて一肌脱いでしまったことを本当に後悔したものだった。  それが今では、主にわたしが話しかけて、廣田がそれなりに答える、という関係が出来上がったわけで、腹が立つこともなくなったけれど。でも、だからといってすぐにスマホに目を落とされると、機械に負けたような気がして、それはそれで面白くない。  とはいえ、わたしたちはきっと、これでも仲がいい部類に入るんだろうと思う。  まるっきり会話がなかったわりには、廣田は初めからわたしの席の前に座っていたし、邪魔に思われているとか、話しかけるなオーラを感じたりしたこともない。慣れれば廣田のそばはなんだか居心地もいいし、お互いに気は使っていないと思う。  それを〝仲がいい〟と言ってもいいものなのか、わたしにはよくわからないけれど、前にわたしたちを見かけたクラスメイトからは、そんなようなことを言われた。
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