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 なんでばれたの? ていうか、もしかして廣田はわたしが誰を好きかわかってる? いつから知ってた? どこでわかった? ……ってわたし、考えすぎ?  頭の中をさまざまな憶測が飛び交い、なにを言っても墓穴を掘りそうで、なかなか声が出なかった。 「……ひ、廣田はさ、わたしには最初から望みがないって思ったりしてた?」 「え、」  でも、ボロが出ないうちになんとかして逃げ切らなきゃ、という思考回路にだけは、どういうわけかならなかった。それは先に廣田が好きな人がいることをオープンにしたからなのか、それとも単にわたしが誰かに話を聞いてほしかったからなのか。 「廣田の言ったとおりだよ。『友だちが』なんて嘘。あれ、汐崎君の話なの。わたし、ずっと汐崎君が好きだったんだ。部活も全然違うし、クラスも違うけど、かっこいいって思ってたんだよ。だから、もっと仲良くなって、地固めをして、それから――って。方法なんてひとつも思い浮かばなかったし、もし思いついたとしても、実際に行動に移せるかって言われたら、できなかったとは思うけど。それでも……そう、思ってたんだよね」 「……」 「でも、汐崎君が恋に落ちる瞬間をたまたま見ちゃって。ほら、そういうのって、好きな人ならどうしてもわかっちゃうものじゃん。その瞬間、告白しなくてセーフだったって普通に思った自分が信じられなかったし、めちゃくちゃヘコんだ。それで今、自分でもどうしたらいいかわかんなくなるくらい、どうしようもなくなっちゃってるんだよね……」
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