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第1話 「命の行方」
人の魂は死後、どこへゆくのだろうか。
それは俺にとって幼少期からの永遠の謎であり、研究テーマであった。
小学6年生の自由研究のタイトルは「命の行方」。
小学校に入ってから、毎年夏休みに入ると同い年の小学生から90歳以上のお年寄りまで幅広い年代の人々に6年間ずっと同じ質問をインタビューした。
「死んだ後、魂はどこへいくと思いますか?」
その答えは実に様々なものだった。
中でも一番多かった答えはやはり、「天国へ行く」というものだった。
3番目に多かったのが「消えて無くなる。存在そのものが消滅する。」だった。
この答えが俺を長年悩ませた。存在が消えて無くなるとはどういうことなのだろうか。生きている間、確かに存在したはずの自分という存在が消滅するということを自覚するためには、その事実を観察する個が必要である。しかし、自己という個そのものが消えてしまうのであれば、そもそも自分が消えたことを認識することができなくなるわけである。したがって、死んだ後魂が消滅するかどうかというのは実証不可能なのではないか。
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