第4章 「天国の戦い」

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 『雷鳴』による一撃が炸裂してからどれほどの時間が経ったのだろうか。  意識が戻ると、俺は額のあたりに何やらくすぐったいような、藁の感触を知覚した。漱石さんの腰みのが目に入った瞬間、反射的に飛び上がったのだが、その時に俺の頭が彼の臀部を強く刺激したらしい。 「あふぅん・・・っ!」  臀部を押さえ悶絶する文豪の姿を見て、非常に申し訳ない気持ちになった。そして俺は、先ほど受けたはずの雷撃のダメージが一切ないことに気づいた。この魂だけの体は都合がいいのか悪いのか。  何はともあれ、俺から数m離れた場所で腕組みをするカエサルとポンペイウスの姿から、戦いはまだまだ続くであろうことを悟り、こんなことなら死にたくなかったと、初めて死後の世界に来たことを後悔する自分がいた。  
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