第4章 「天国の戦い」

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 古代ローマの英雄2人に果敢に立ち向かい挑んでは、『雷鳴』による攻撃を受けあえなく後退、という無限ループに飽きて来た俺は、再び漱石さんに助言を求めることにした。 「さっきあの二人に対抗する手段がないことはないと言っていましたよね?」  俺は同じ轍を踏まないように早口でまくしたてるように話した。  すると、漱石さんは腰みのを若干持ち上げ、真剣な表情を作った。この様子から察するに相当期待が持てるかもしれない。 「知っての通り、わしらは魂だけの存在、つまり思念体なんじゃな。天国という場所そのもの自体が、その存在の基盤が不明瞭な、ただここに在るということを知覚することができる、いわば意識の集合世界なのじゃ。言っとる意味はわかるな?」 「は、はい。」  正直言って、よくはわからない。ただなんとなく言わんとしていることは汲み取れるような気はする。  漱石さんは話を続ける。 「要は、この世界を支配しているのはわしらの意識・思考といった、実体を超越した思念なのじゃ。もちろん、精霊のようなそれだけでは説明のつかない存在もいる。じゃが、例外を除けば、この世界においてとある1つの絶対法則が成り立つ。」 「絶対、法則・・・。」  俺はふとカエサルとポンペイウスの方を見た。いつ攻撃を仕掛けてくるか気にかかるからだ。  2人には攻撃する気配が一切見られなくて拍子抜けしてしまった。  俺は引き続き漱石さんの話に耳を傾ける。
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