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ー高級ブティック「風林火山」ー
店の前に出されたのぼりに力強く書かれた四文字を目にした時、直感的にこのブティックの店主が分かった気がした。『大和飛鳥』という名前を両親から授かった俺だから分かることなのではなく、きっとある程度の教養があれば誰でも気づくことなのではないか。
「国王様との謁見の前に、まずはそれらしい身なりをしないといけないからな。ドレスコードってものがあるんじゃよ、城に入るためにはな。」
俺は思わず漱石さんの体を下から上まで舐めるように観察してしまった。説得力が皆無なのだから。
「もちろんわしのこの姿はドレスコードを満たしておるからな。」
堂々とした口調だ。もしかしすると、俺も腰蓑姿にさせられるのではないかという疑念が頭を一瞬よぎった。
「そうは言っても服のことはサッパリじゃからな、ここは早速店主を呼ぼうかの。おーい、げんちゃーん!」
げんちゃん・・・やっぱり俺の予想した通りの人物が店の奥からやってくるのだろうか。
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