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ガシャン・・ガシャン・・
金属同士がぶつかり合う音と共に、白衣にゴーグルを身につけた科学者風の男が店の奥からやってきた。頬には炭のようなものがこびりついている。実験にでも失敗したのだろうか。しかしながら俺は違和感を感じていた。俺が想像していた姿とあまりにもかけ離れているからだ。
「げんちゃん久しぶりじゃのう。」漱石さんの声が弾んでいる。随分と仲良しのようだ。
「・・・マッシュルームが食べたいのう。そう思わんか、お前さん。」
「え・・・?マッシュルー・・」
「ワオワオ!!」そう言って、げんちゃんなる人物はいきなり俺にカンチョーをかましてきやがった。
「・・!!」
すげー痛い。俺はその場でうずくまり痛みが引くまでじっとせざるを得なかった。
「げほげほ・・・い、一体何を・・!?」
「ウェルカム、ウェルカム、ハンディカム。ようこそ、風林火山へ。わしがそう、かの有名な『平賀源内」じゃ。」
「あ、あなたが・・・?俺はてっきり『げんちゃん』っていうのは武田信玄かと・・。」
店名を目にした時から、完全にそう思い込んでいた。
平賀源内は高笑いしながら、
「ああ、そっちのげんちゃんはオーナーの方ね。わしはデザイナーだから。」と、自慢気に答えた。
「そうそう、平賀のげんちゃんはジパングでは5本の指に入るほどの実力を持つファッションデザイナーで、武田のげんちゃんはこの店のオーナーなんじゃよ。」と、漱石さんが説明してくれた。
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