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「えーと、つまり平賀源内さんはこの店のデザイナーであって、店主ではないと。武田信玄さんがオーナーなんですね?」と、俺は頭の中を整理しながら確かめるように言葉にした。
「いやいや、わしは別にこの店の専属デザイナーではなくて、フリーランスでやってるからね。ワオワオ・・・からの、えんがちょ!!」
「はうっ!!?」
俺は再び平賀源内のカンチョー攻撃をまともに受けてしまった。1度ならず2度までも。もちろん痛みはない。1度目の攻撃でうずくまったのは、脊髄反射というものだろう。
「キャーーキャーーキャーー」
何やら店の入り口の方から女人たちの黄色い悲鳴が聞こえてくる。
「おーおー、この店の一番人気のげんちゃんが来たようじゃの。」
「え、まだこの店にいるんですか、他のげんちゃんが。」
「わしも若い頃はあやつぐらい輝いておったんじゃがなぁ。ワォワォ。」
「輝いていた?」
「おうおう、俺の店がなんだか騒がしいな。またあいつが顔バレしたのか??ったく、出勤するときは仮面をつけろってあれほど言ってあるのによ。」
店の奥から貫禄のある腹に響く低音ボイスの持ち主がこっちへ近づいて来た。顔には仮面がつけられている。仮面、というよりもマスクに近かった。
いや、むしろどこからどう見ても明らかに「タイガーマスク」だった。
「おおー、げんちゃん!」漱石さんの声が一段と弾んだ。
「いや、一体どんだけのげんちゃんがいるんだよ!!」
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