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足取りが重い。運動は得意な方ではない。走るのは特に苦手な部類に入る。
試験会場を視界に捉えた。俺は最後の力を振り絞り、1歩1歩太腿を振り上げる。地面を蹴る。
突如、体が崩れ落ちた。
俺は訳も分からぬまま地面に突っ伏すように倒れ込んだ。
朦朧とする意識の中、俺は自分が死を迎えようとしているのを悟った。
視力が、聴力が、五感の全てが徐々に失われていく。
死の間際、俺の目に映ったのは、高3の夏、高校の屋上から飛び降り自殺を図ったあの女の顔だった。
・・・いいだろう、人の魂が死後、一体どこへゆくのか、身を以て明らかにしてやろうじゃないか。
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