8人が本棚に入れています
本棚に追加
2人の門番は同時に俺の方を向いた。その鋭い視線は俺の全身をくまなくチェックしているようだ。
俺は武器を持っていません、怪しい者では決してありません。だから殺さないでください。
あ、そういえば俺はもう死んでいるのか。
「・・・・ソウセキ、オマエノリョウリ、デリシャス。」
門番は片言だ。日本人ではないのか。
「ソウセキ、オマエ、ウソツカナイ、イイヤツ。オレ、オマエ、タベタイホドスキ。」
誰がそんな言葉教えたんだよ。もうちょっとまともなことを教えてあげろよ。
「いやはや・・・そんなお言葉勿体無いですぞ、カエサル様、ポンペイウス様。」
「えぇ!??カエサルにポンペイウスぅ??」
古代ローマの英雄じゃないか。どうしてその2人がこんなところで門番なんかをしているんだ?
「おいおい、このお二人になんて口のきき方を!申し訳ございません、カエサル様、ポンペイウス様。今日死んだばかりの新人でして・・・。何卒ご慈悲を・・・。」
「・・・・・」「・・・・・・」
カエサルとポンペイウスは目を合わせ、俺をどうするか考えて込んでいるようだ。
「・・・オレ、オマエ、キライ。」
「え・・?」
「そんな、ポンペイウス様・・・。」
「・・・オレモ、オマエ、キライダ。シマツショニアゲテヤル。」
・・・きっと血祭りにあげてやるって言いたいんだよな。
・・・ふぅー・・・・
「ええええ!!??」
「・・・おいらにできることはここまでだ。達者でな。」
漱石さんは無情にもどこかへ逃げるように走って行ってしまった。
もう俺は死んでいるわけだから、これ以上死ぬことはないだろうし、多分。それにさっき疲労感がなかったということは、きっと痛みも感じない体なのだろう。駄目元で、古代ローマの英雄2人を相手に戦ってやろうじゃないか。伊達に、中高6年間帰宅部してたわけじゃないからな。
最初のコメントを投稿しよう!