第1章

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 窓の外を見ると、すごいスピードで一斉に無数の円盤が遥か上空に消え去っていくところだった。 「やっぱりシキキンを預けていたのか。いったい何を……」と誰かが呆然と呟く。 「きっとスゴイものですよ。何しろ日本では部屋を借りるとき、家賃の二ヶ月分をシキキンとして預けたりしますから。大家さんが返したくなくなる気持ちもわかります。日本ではシキキンを返す、返さないでよくトラブルが起きるんですよ」と日本の首相が満足そうに言う。 「しかし、あの円盤に乗っている人たちはどこへ行ったのかね」とフランスの大統領。 「きっと大家さんがほかの星を紹介したのでしょう」とアメリカ大統領。 「そんな星ありますかね?」とドイツ首相。  円盤が去り、美しい青が広がる空を見つめながら日本の首相が言う。 「ありますよ。住みやすくて、しかもシキキンのない星がね」(了)
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