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「…えぇ…そうなんです。警察に預けることもできなくて…すみません、今日は在宅でお願いします。……はい、また連絡します。リカコさん、申し訳ありません」
私は通話を切ると、ソファでキャッキャッとはしゃいでいる二人に目をやった。
つい一時間前のことを思い出し、ため息をつく。
「…どうしたの?お母さんは?」
二人は首を横に振ると、ワンワンと泣き出した。何を聞いても泣いてばかりで…犬のおまわりさんはこんな気分だったのだろうと、ふとそんな事が頭を過ぎった。
仕方ない。
傘を閉じると、濡れたままカバンに突っ込んで、二人の手を両手に握った。
手を握ると、二人とも安心したように私を見上げた。
ひとまず交番に連れて行こう。
ここから、不思議な時間が始まった。
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