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仕事中だろうが構わない。
スマートフォンを握ると、桔平さんに電話を掛けた。
「…もしもし?…これから打ち合わせなんだ……また後で…」
「……早く…早く帰ってきてください…お願い…」
泣きながら訴えた。
早く帰ってきて、抱きしめて欲しい。二人の話をしたい。
私たちに訪れる、二人の可愛い女の子の話をしたい。
そして、謝りたい。
あなたを愛していると伝えたい。
その夜遅く、桔平さんは帰ってきた。次の日の朝早い新幹線で、また出掛けると言う。
私を心配して帰ってきてくれたことが嬉しかった。
二人の話を黙って聞いてくれた。泣きながら話す私を抱きしめてくれた。あなたの子供が欲しいと言う私を抱きしめてくれた。
そして、私たちは父と母になる。
暑い夏に二人が生まれるのは、もう少し先の話だ。
ーend
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