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微笑みかけると、空から白い雪が降ってきた。
目の前には、私と同じ背の高さになった二人が、着物を着て立っている。
ああ、そうか。成人式だ。思わず目を細めた。
もう、二十年か…。
チャペルのドアが開いた。
あの人にエスコートされて、二人のうちの一人がゆっくりと歩いてくる。快活な女の子の方だ。見ただけでわかる。
幸せになってね…目から涙があふれた。
「ねぇ、ママ」
涙を拭う私の横で手を叩く臆病な子がそっと耳打ちした。
「早く、パパと仲直りして。それで、早く私たちを呼んで」
耳元の声が下へと下がっていく。
視線を下ろすと、雨の中で出会った二人が私を見上げて笑っていた。
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