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「…本当に迷子なの?」
怪しげにおまわりさんは私を見つめる。
なぜ、そんなことを言われるのか私には理解できなかった。
「…だって…おたくたち、顔似てるよ?親子でしょう?」
「お、親子って…!私は結婚はしていますが、子供はいません」
必死に否定する私の下で、小さな声が聞こえてきた。
「…ママ」
マ、ママ!?
「お腹空いたから、帰ろう」
二人は私のスカートを引っ張ると、帰りたいとそう連呼した。
「ね、お嬢ちゃんたち、ママのお名前言えるかな?」
しゃがみ込むと、おまわりさんは笑顔で二人に声をかけた。
二人の口から揃って出た名前は、紛れもなく、私の名前だった。
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