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「ほら、乾いたよ」
二人の髪を乾かし終わった。
子供とはいえ、二人の髪の毛を乾かすのは、暑い夏になかなかの労働だ。
小さな子が着る洋服なんてない。
とりあえず私のTシャツを着せた。下着は……私のショーツを履かせた。初めて見るのか、Tシャツを胸までめくると、レースのついた下着を興味深そうに見ている。
「もうこんな時間か…お昼…何か作ろうか」
有り物でチャーハンを作った。美味しい美味しいと食べる様子に、気持ちがほんわかと甘くなった。
なぜだろう、食べる様子があの人に似ていると思った。
食べたら眠くなるのが世の常だ。
二人は食べ終わると、眠そうに目をこすり始めた。
「歯磨きしたら、お昼寝しようか?」
二人は頷くと、椅子を降りて抱っこを求めてきた。
一人ずつ抱きしめると、手を引いて歯を磨きに連れて行く。
あくびする顔が愛おしい。小さな手も可愛らしい。
母性ってこんな感じなのかと、なんだか身体の奥がじんわりと温かくなっていくのを感じた。
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