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第8話 それぞれの想い。
余計な事は聞かず、俺が話を聞いて欲しい時には耳を傾けてくれた。
俺にはそれが有り難かった。。
大分後になって知ったが、同じ頃に雅楽と雅の親戚も亡くなったらしい。
2人は少なからず俺に共感した部分があったのだろう。。
俺も彼等にそれについて尋ねる事はしなかった。
放課後2人と別れ、家に着いて直ぐに荷物をまとめ始めた。
思っていたより早く支度が終わったので、ベッドに横になって本を読んだ。
暫くして尊が帰宅した。
「只今ー。」
返事が無い。
いつもだったら、「お帰り~。」と言いながら玄関迄来るのに。。
まだ帰ってないのか?
尊は自分の部屋に荷物を置き、優多の部屋に向かった。
「優多居るのか?」
ドアを開けると優多がベッドの上で気持ち良さそうに寝ていた。
尊はかがみ込み、優多の頬をそっと撫でた。
彼の愛らしい寝顔に引き込まれ、思わず唇に触れた。
「う…ん…」
優多の声を耳にし、尊は即座に自分の唇を離した。
ふと、唇に何かが触れた感覚がして、優多は眼を開けた。
目の前には尊の顔があり、俺をじっと見つめていた。
「窓開けっ放しだったぞ。寝るならタオルケットぐらい掛けて寝ろよ。風邪引くぞ。」
いつの間にか眠っていたらしい。
「ほら、身体が冷えてる。風呂に入って温まってこい。」
「うん。分かった。」
そう返事をし、優多は浴室に向かった。
身体を洗い終え、浴槽に浸かりながら自分の唇を指でなぞった。
気のせいだったのかな。。?
又、夢をみていたのかもな。
全く。。
俺、どうかしてるな。。
優多は自身に苦笑した。
夕食後、尊はリビングのソファーベッドで横になり、借りて来たDVDを観ていた。
宿題を終えた優多が部屋に入って来て、無言のまま尊の腕を枕にし横になった。
「最初から観るか?」と尊が尋ねた。
「ううん。このままで良いよ。」
尊が優多を後ろから抱きしめる様な形で一緒に観ていたが、実際のところは2人共映画の内容が全く頭に入って来なかった。。
優多は、昨夜の出来事が実際に起こった事なのか確かめたかったが、面と向かって尊に聞く勇気が出ず、思いあぐねていた。。
尊は、優多と離れるだけでも辛いのに、優多と樹希が二週間も2人きりで過ごす場面を想像し、胸が痛んだ。。
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