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第9話 確かめたくて。
暫くして画面に目を向けたまま、尊が口を開いた。
「なぁ。。明日の支度は出来たのか?」
「うん。もう荷物まとめ終わったよ。」
「優多。俺と一緒に実家に帰らないか?樹季はズボラだから、二週間もお前を任せるのは心配なんだ。」
「心配しなくても大丈夫だよ。樹季は確かに大雑把なところも有るけど、優しいし、面倒見が良い人だろ?」
「そうだな。。。」
尊はそれ以上何も言わなかった。
2人の間に沈黙が流れた。
急に優多が身体の向きを変え、顔を近づけて来た。
彼の息が傍で感じられ、尊の心臓は高鳴った。
それを気取られない様、少し身体を優多から離した。
「優多。どうした?」
優多が躊躇いながらも口を開いた。
「尊兄…俺、ちょっと確かめたい事が有るんだけど。。良いかな?」
「うん?何を?」
「う…ん… これ。。」
そう言って優多は俺の唇に自分の唇を重ね、直ぐに離した。
優多の唇が近づき触れられた瞬間、尊は頭の中が真っ白になり、何も考えられなくなった。
優多をキツく抱きしめ、唇に封をした。
そのまま彼の身体に覆い被さり、柔らかな唇を舐め回した。
それから、舌先で上唇と下唇の間を何度もなぞり、唇を開く様促した。
彼の口が僅かに開いたのを感じ、直ぐに自分の舌を差し入れ、舌と唾液を絡め取り強く吸った。
「うんんっ。。あっ。」
優多の漏れ聞こえる声と、ぴちゃっぴちゃっと俺を誘う音が脳内に響き渡り、益々夢中になり、貪る様に口の中を這い回った。
「ん。ふぅっ。。尊兄。。待って。。」
途切れ途切れの彼の言葉を耳にし、ハッと我に返り、唇を離した。
荒くなった息を整えながら、優多の興奮と戸惑いが入り混じった顔を見つめた。
「優多。ちゃんと言えよ。何を確かめたかったんだ?」
優多は尊の真剣な眼差しに動揺し、彼から顔を背けたが、尊は優多の顎を持ちぐいっと自分の方に向けさせ彼の下唇を噛んだ。
優多は驚き、思わず尊を突き飛ばした。
「あっ…尊兄…ごめん。 そんなつもりじゃ。。」
優多は尊の手を掴んだが、尊は優しくその手を放した。
「。。大丈夫だ。気にしなくて良い。悪いが少し1人にしてくれないか?」
顔を上げると尊の寂しそうな笑顔が其処に在り、優多は成す術も無く
「おやすみ。」
と一言だけ告げてリビングを後にした。。。
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