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第13話 自問。
2人は荷物を取りに一旦家に寄ってから、樹季の家へと向かった。
彼の家の間取りは尊と優多の家と同じ4LDK。
一人暮らしをするには充分過ぎる程の広さだ。
「樹季。今日、家政婦さんは来ていないのか?」
以前、樹季の家を訪れた時には家政婦さんが2人居たのだが、今は誰も居ないようだ。
「ああ。この前お前が来た時は、偶々家政婦さんが来てくれてた日だったんだ。」
「え?じゃあ今は?」
「一人暮らしを始めた頃は、実家から家政婦さんが通いで来てくれていたが、お前達を見習って、自分で少しやろうと思ってな。それでも親が心配するから月1~2回程度は来てもらってる。」
樹季の話しを聞き、優多は家の中を改めて見回した。
家の中は割合綺麗に片付いている。
家の事など何もしないと思っていた樹季が、1人で掃除をしているところを想像すると可笑しかった。
「俺の家に来るのは久しぶりだろ?好きな部屋を使って良いぞ。但し、ベッドは一つしかないから、寝る時は一緒の部屋だ。キングサイズのベッドだから、男2人でも充分に寝られるしな。それで良いか?」
「うん。それで良いよ。じゃあ、隣の部屋を使わせてもらうよ。荷解きして着替えてくる。」
そう言って優多は部屋に入ると、間なしに自分の携帯電話をチェックしたが、尊からのメッセージは何も届いていなかった。
優多は、尊の部屋で起きた出来事が、昨夜のキスで夢では無かったと確信した。
2人の舌が触れ合った甘い味と痺れる様な感覚、それらを思い出し身体が熱くなった。。
と同時に、尊に対しての自分の感情の変化に戸惑ってもいた。
尊とキスを交わした時、彼の身体からは、発情した雄の匂いが漂っていた。
優多はその匂いに興奮し、彼を求めていた。
そんな自分のいやらしい感情を尊に気取られるのが怖くて思わず彼を突き飛ばしてしまったのだ。
俺からキスしておいて。。
尊兄。
寂しそうな顔してたな。
傷付けてしまったかな。。
尊兄は俺の事どう想ってるのかな。。
俺は彼の事をどう想ってるんだろう。
好きなのか。。?
それとも身体が反応しただけ?
優多は自問したが答えは出ず、頭が痛くなったので考えるのを止めた。。
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