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チリーン……。チリーン……。チリーン……。
リリリーンリリリーン……。
鈴の音を聞きながら、足を進め――
ふと、私は気づきました。
――おかしい。
リリリーンリリリーンリリリーンリリリーン……。
――鈴の音が……幾つも聞こえる。
それも四方八方から。
ヂリーン……。ヂリヂリリリリーン……。
歩くたび、幾重にも重なり、少しづつ、大きくなっていく鈴の音――
否――
これは鈴の音とは違う――
これは……
「風鈴……」
なんで、こんな山奥で? 風鈴の音が?
考えれば考える程に、嫌な汗が流れて――
相棒の犬が唸り声をあげます。
先に進むな。前を見るな。
頭が警告を出しているのに、足が止まらない。
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