風鈴

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ヂリーン……ヂリーン……ヂリヂリリリリーン…… ヂリヂリヂリヂリヂリーンチリチリヂリヂリヂリヂリチリチリリリリーン…… 何重にも聞こえる風鈴の音を聞きながら、足を進めた時―― 突如、相棒の犬がけたたましく吠えました。 犬の視線の方を向くと。 フワッと白いものがひらめいて、それと共に、風鈴の音が一斉に響き渡り。 ヂリヂリチリチリヂリヂリヂリヂリヂリーンリリリーン……。 白くひらめくもの―― それは、ワンピースのスカート―― 若い女性がそこにおりました。 宙に浮いている足。ゆらゆらと揺れる体。枝から延びるロープ。腐りかけ、ぐるっと目を剥き出した顔――。 風が吹き、木々のざわめきと共に、女の体が揺れ、女と私の周りから―― 一斉に、激しく音が鳴りました。 ヂリヂリリリリーンヂリーンチリチリヂリヂリチリチリヂリヂリリリリーン……!! ゆっくりと周囲を見渡す。 ヂリヂリリリリーンリリリーンリリリーンヂリーン!! 風が吹くたび、音が鳴り。 それは数えきれない程に、女の周囲を取り囲んでいる風鈴の音。 木々につけられた風鈴の音が―― また、鳴りました――。 ヂリヂリリリリーンヂリーン!!
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