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2.なんだかちょっと怪しい気がする。
腕にひとかかえほどもある木の根が、ときおり足元をすくおうと地面の上に姿を現す。見たこともないような大木の姿にも慣れ、足首ほどの低い草の生えた大地の踏み心地も珍しくなくなったころ、万菜美は空腹を覚えた。
「ねえ、まだ?」
飛び跳ねるように進んでいたククノチが振り返る。
「ちょっと休憩したいんだけど」
「おお」
なるほど、と目をクルクルと動かして笑ったククノチが、手近な木の根を軽く撫でて、万菜美を誘った。
「ここに腰を掛ければいい」
「ありがと」
言われるままに近寄った万菜美は、木の根に座って幹に背中をあずけた。
「ふう」
短い草がクッションになっていたので、足の疲れはコンクリートの道を踏みしめるよりはマシだ。けれどまったく疲れないというわけではない。
万菜美の横で、ククノチが木の根にまたがる。こちらは、ちっとも疲れた様子はなかった。
(子どもって、元気)
大人から見れば万菜美も子どもなのだろうが、小学生と高校生ではかなり違う。小学生は子ども期間のど真ん中だが、高校生はあと少しで大人になるのだ。
(大人かぁ)
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