第1章 -浮気-

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「あ~らイカしたお兄さん。どう? パフパフしてかない?」  長い道中を歩き続け、凶悪な魔物と幾多も死闘を繰り広げ、クタクタになりつつもようやく新たな街に辿り着いた勇者ウーブは、一人の町娘に艶かしい声をかけられた。 「ストレスも発散できて、とっても気持ちよくなるわよ?」  答えあぐね固まるウーブ。チラリと娘の豊満な胸の谷間に目がいき、心の臓がドキリと音を立てた。  「悪いが、先を急ぐのでな」  ウーブの代わりに答えたのは、屈強な戦士コウハだった。  コウハに背中を押されウーブは強制的にその場から立ち去った。 「勇者様にあのような店は必要ございませぬ」 「うむ。(よこしま)な考えは身を滅ぼしますじゃ」 「そうザマス。勇者様には世界を救うという大事な使命があるザマスよ」  僧侶のメジマと魔法使いのブルジョも口々に言うも、ウーブの心はまだ店の前に残っていた。
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