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「わからないけど。困ることがあったらってこと」
それだけ言うと有馬はさっさと生徒会室を出て行ってしまう。
なんだかあたしは訳のわからないモヤモヤで胸がいっぱいになった。
有馬のいう〝困ること〟が案外早く訪れたことに、あたしは驚きを隠せない。
「あなた本当に有馬さまと付き合ってらっしゃるの?」
「嘘よね。有馬さまは優しいからきっとあなたからのアプローチをお断りできないだけだわ」
「だって、そうじゃなかったら……どうして……今まで誰ともお付き合いなんてされてなかったのに」
あの時有馬に連れていかれた人気のない校舎裏で、見たこともない女生徒たちに囲まれていた。
怒りに任せて胸ぐらを掴みたくなったが、相手は同じ学校の女子だ。そうはいかない。
どうしてこういう時女子って集団なんだろう。
一対一じゃ言えないから、みんなで追い詰めれば怖くない的な?
高等部に進学早々こんなことになるなんて、まったく予想してなかった。お嬢様って言ったって頭の中は普通の女の子と同じ。嫉妬もするし、好きな人と付き合ってる女がいたら邪魔にも思う。
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