お嬢様は王子様なんてだいきらい

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「別に君に興味はないけどからかってはないよ。本当に俺と付き合って欲しいんだって、恋人として。期間はとりあえず様子見で一年間でいいや。契約更新もあり得る、そんな感じ。わかった?」  契約更新って……え、なに、こいつにとっては恋人になるって契約なの?  それともあたしが知らないだけで、良家のお坊ちゃんはこういう付き合い方しかしないもんなの? 「わかるわけないでしょ!」  ドンと鈍い音がする。気づけば目の前の校舎の壁を握りしめた拳で殴ってしまっていた。いや、有馬を殴らなかっただけ偉いでしょ。 「じゃあ契約成立ね。とりあえずいっしょに帰ろう」  グイッと手を引かれて指を絡められた。え、あたしやるって言ってないけど? どうしてこいつの中で決定事項になってんの。 「君に断る権利があると思ってるの?」  あたしはまた声に出して言っていたらしい。 「ありませんね……有馬だけに、ケッ」  こんなくだらない親父ギャグでも言ってないと気が済まなかった。  え、っていうか……いっしょに帰ろうってまさか。 「俺も寮なんだ。よろしくね、蘭」 「蘭って呼ぶな! よろしくなんてしたくなーい!」  ズルズルと引きずられるようにして、学園内にある寮までの道を歩かされた。傍目に見てる分には恋人同士が仲良く手を繋いで歩いているようにしか見えないのかもしれない。あたしたちにいくつもの視線が突き刺さる。     
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