お嬢様は王子様なんてだいきらい

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「うちの学校は部活もないし、放課後に寄り道は厳禁なのは知ってるよね。君は堂々と破ってたようだけど。だから寮の門限は十六時。外出は基本休みの日だけ。それももちろん外出届をだすこと。どうしても緊急の場合はその都度管理人に報告すること。食事の時間、この談話室の開放時間は寮規則の本に載ってるから見ておいて。一応テレビはあるけどあれ、教育番組しか映らないから。で、テストの結果が悪い生徒はこの談話室で放課後毎日就寝までの時間勉強することになってるから」 「はっ……? 結果が悪いってどれぐらい? 百番台とか、のことだよね?」  中間も期末もまだだけど。あたしの成績だと多分……多分九十番ぐらいには入れるはず。短期の記憶だけはいいんだ。自慢できることじゃないけどね。 「そんなわけないだろ。五十番台より下は全員ここで勉強だ。まあ、そもそも寮に入れられてる時点で五十番より上の奴なんかいないけどね」 「へぇ、有馬も頭悪いんだ」  有馬の弱みを握ったような気がして小さな声で告げれば、白けた顔でバカかと返された。 「俺は勉強教えてる方に決まってるでしょ」 「ああ、そうですか……」  そういえば女子たちが新入生代表がどうのってキャーキャー言ってたっけ。入試で全教科満点だったとか。  きっとガリ勉タイプなんだ。頭は良くても体育はてんでダメとかよくあることだし。 二・王子様効果はすごかった!  ──登下校はいっしょに。時間厳守。  思い出すだけでイラっとする。  たしかに有馬が顔はいいのは認める。けど、傍若無人っていうか唯我独尊っていうか、あたしの隣に並ぶ彼氏のイメージとは程遠かった。     
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