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「まさかとは思いますけど……お付き合いしていらっしゃる、とか?」
桐生さんの問いにクラス中がシンと静まり返る。
どうすりゃいいのよ、と有馬を見ると軽く頷く姿が。
言ったらどうなるかわかってんでしょうねと睨むものの効果はない。
初めからバレるのを狙っていた節があるから、有馬はこうなることも予想していたはずだ。
「まぁ、一応」
あたしが言うと、桐生さんの悲鳴が聞こえて、周りが一斉に息を呑む音、まるでお通夜かってぐらいさめざめと泣く女子たちの姿があった。
本意じゃないけどね。
心の底から早く二年に上がりたいと思ってるけどね。
あ、でも契約更新もあり得るって言ってたっけ。
あたしがどうしたら契約更新すんのよ。逆に更新しない時はどんな時なのか教えてほしい。
全力で契約更新させないように頑張るから。
早く週末が来ないかな。
こんな時は柊くんの姿を見てスッキリしたい。サンドバッグを殴ってストレス発散したい。
もうため息しか出てこない。
三・有馬の秘密
え、あの子が……そんな囁きを何度聞いただろう。
有馬と付き合っているってだけでこんなになるのって驚くほど、今日一日動物園のパンダ状態だった。
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