お嬢様は王子様なんてだいきらい

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 もうどうしてこんなことになったのか、文句を言ってやらなきゃ気が済まない。体育が終わって着替えを終えると有馬を探すべく男子更衣室へと向かった。  ほかの男子たちは着替えを終えているのに、有馬はジャージ姿のまま更衣室から出てきた。着替え忘れたとか? でも朝は制服だったし。 「有馬くん。ちょっといいかしら?」 「ああ、うん」  人気のないところを探しても、有馬の姿はとにかく目立つ。どこにいても会話を聞かれているようで気が抜けない。 「蘭、こっち」  有馬に手を引かれてついて行くと、生徒会室と書かれたドアが開けられた。有馬生徒会入ってたっけ? 「書記なんだ。休み時間なら誰もこないから……で、なに?」 「っていうかなんでジャージ? 着替えないの?」 「制服盗られたから。ブレザーは置いていってくれたみたいだけどね。シャツがないからさ、おかしいでしょ? 体操着にブレザーって」  どうしてそんな何でもないことのように言うの?  この場所で私物がなくなるって相当問題だけど。だって、この学校にはいわゆるお坊ちゃんとお嬢様しかいない。お金に困って誰かの物を盗むような人はいないはずだ。だったら嫌がらせでしかないじゃない。 「はっ? 朝も上履き失くなるって……ねえ、どういうこと?」     
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