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ハッキリ言える。あたしは王子様なんて大キライだ。
「ほらね」
でもそんな簡単に人を信じていいの? もしあたしが有馬のストーカーとかで、有馬に気にしてもらおうとわざとタイプじゃないフリしてたりしたらどうすんのよ。
「なに? 俺のこと心配してくれるんだ?」
ジリジリと距離を詰められて、あたしは一歩後ろへ下がった。誰に見られることもないんだから、今付き合ってるフリする必要はないでしょ。
間近で見ると有馬の顔は本当に綺麗で、緊張で思わず喉が鳴ってしまう。別にあたしにも興味はないんだから、有馬に何かされる心配はないにしても綺麗すぎる人って怖い。
「ちょっと……近い」
唇が触れるまであと数センチのところで、有馬の動きは止まった。フッと有馬の息が顔にかかる。
「あははっ、ひっどい顔してる。ほんとおもしろいよね君」
キュッと鼻がつままれて、からかわれた恥ずかしさにあたしの頬は煮えたぎるみたいに熱くなった。
「からかわないでよっ!」
「君にはなるべく迷惑かけないようにするけど……何かあったら言って」
もっと怒りたかったのに、有馬がひどく真面目な声でそんなことを言うから、あたしは何も言えなくなってしまった。
「何かって?」
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