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この野郎とお母さんの隣に立つ東郷を睨んでも、幼い頃からの付き合いな分効き目はまるでない。
「それぐらいのことでなんで寮っ?」
「あなたが毎日毎日通っているてっこつジム……でしたっけ、そんな野蛮なスポーツばかり見ているせいでしょう」
「鉄拳ジムだし! 野蛮って何よ! ちゃんとルールに従ってプレーするれっきとしたスポーツだし」
「そんなことを聞いてるんじゃありません! とにかく、あなたには二十四時間天羽家の人間としてふさわしい教育を秀嶺学園で受けてもらいます。これはもう決定事項です。もう荷物も送っておきましたから、明日からは寮に帰りなさい」
「あたしの荷物勝手に送ったのっ?」
「それが何? あなたには断る権利はないわよ」
「お母さんのバカーーっ!」
「ま、語彙が少ないこと。もう少し国語の勉強もなさい、蘭」
口でこの親に勝てないことはわかってる。
でも、でも……寮はイヤ。
だって規則が超厳しいっていう寮になんて入ったら、柊くんを見に行けなくなってしまう。
そんなあたしの祈りは通じずにあっという間に月曜日はやって来てしまった。いつもどおりに邸を出て、帰る場所は学園内にある寮。いわゆる問題児が入れられるっていう噂の。
「天羽さん? お顔が少し暗いようだけど何かあったの?」
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