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「わかったわよ。で、本当に何の用? まさかここでバラされたくなかったらとか始める気じゃないでしょうね」
「頭は悪そうなのに勘はいいね。その通りだよ」
ニヤリと笑う有馬の姿は絶対王子なんかじゃない。こいつは白馬になんて乗らない。人を踏み台にして笑いながらその上を歩く王様みたいだ!
「あたしをどうしたいのよ」
「君をどうにかしたいとは思わない。ただ、俺と付き合ってほしいだけなんだ」
「はぁっ?」
何言ってるんだ、こいつは。もしかしてずっと君のことを見てたんだ……とか学園ラブストーリーが始まっちゃう感じ?
いや、正直まったく興味がないって言ったら嘘になるけどね。あたしだって一応女の子なわけだし。好きな人といつか、ぐらいの気持ちはある。
え、まさか……本当に?
チラッとあたしよりも二十センチは高い有馬を見上げると、あたしの百面相を見てクックッと腹を抱えて笑っていた。
「あ~おもしろい。君、今考えてたこと全部口に出てたよ」
「え……」
「あたしだって一応女の子だし、ねぇ。俺の中でサンドバッグ殴ってストレス発散する子は女子に含まれないんだけど」
「うるさいわねっ! あたしのことからかって楽しみたいだけっ?」
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