廃ビルの屋上

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花火大会が終盤に差し掛かった頃、外階段を上ってくる足音が聞こえて来た。 カン、カン、カン 「ねぇ、誰か来るよ?」 「マジかよ。ここの管理人か?」 「それか、俺たちみたいに花火見物が目的か」 「まさか、警察じゃ……」 「それはマズイな。警察はマズイ」 遠藤が身を潜めながら、屋上の縁からこっそり外階段を覗き込んだ。 落ちないように、左手で屋上の鉄柵を握りながら。 「誰もいないぞ」 カン、カンと階段を上る足音が確かに近づいて来る。 けれど、誰もいないと遠藤はこちらを見て首を振った。
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