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スポーツバーのスクリーンでは、真っ赤な衣装をまとったフィギュアスケート選手が氷上を舞う。
有名なオペラの第三幕。
男が姫に高らかに勝利を宣言する。
"私の勝ちです"
その台詞に自分も勝利を確信する。
人混みにまみれて、隠れるようにキスした二人。
二人とも仕事先の取引相手だ。
自分がここにいるのも知らずキスをして、仕事を家庭を失っても良いのだろうか?
仕事を奪いたい訳じゃない。家庭を壊したい訳じゃない。
俺に無意識に仕事仲間の同僚のハズの残り香を感じとらせるイラつく奴。
あの傲慢の残り香が、鼻につく。貴方の匂いは何処?
男が勝利を宣言する。
俺が仕掛ける恋の駆け引きも勝利に終わるだろう。
ずるいかも知れないが、恋と戦争ではあらゆる事が許されるのだから。
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