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目が覚めて、ちらりとスマートフォンの通知を確認するが、誰からも連絡は来ていない。
「だから嫌だって言ったのに……」
「だからもヘチマもないですよ!かき氷ですよ!ナツキさん!」
どこから持ってきたのか、カナはかき氷機を抱えていた。
それは一体どうしたのか、と聞いたらどうやら隣人から借りてきたらしい。俺が寝ている間に外に出た帰り、玄関前で鉢合わせして仲良くなったようだ。俺は隣にどんな人が住んでいるのかすら知らないというのに。
「削って削って削りまくるので、一緒に食べましょう!」
「かき氷は食べられるのか?」
「さあ?でも融けたら樹液感あるのでいけそうな気がします!」
それはもうかき氷ではなくただの砂糖水だ。というか、セミは甘い液体ならなんでもいいのだろうか。カナが買ってきたかき氷シロップはイチゴでもメロンでもなくみぞれだった。
「そうだ、ナツキさんが寝てる間に花火買ってきたんです。暗くなったらやりましょうね」
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