下・委ねられた真実

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そして、こちらに向かって聞き覚えのある声がレイアスを呼ぶ。 「レイアスーっ!」 「…ロイ?」 ロイとレムの姿だった。 「レイアス、無事か!?」 「こっちの子はもっと重症ね…」 「レムさん!コロンが…!」 「もう大丈夫よ。この調合薬を…さぁ、早く」 「はいっ」 イリスはレムから受け取った薬をコロンの口へと注いだ。 するとコロンはブルブルと全身を身振るいさせ、目をぱちりと開けた。 「みゅ?」 「コロンーっ!」 「みゅ!みゅ!...みゅぅ?♪」 イリスはコロンをぎゅっと抱きしめた。 「レムさん…これは?」 「一時的だけど、生命力を底上げする薬よ。簡単に言うと媚薬ね、子供用だけど」 レムの用意した調合薬のおかげで一時を乗り切った。 ロイは現場の負傷兵の数を確認するとレイアスにある兵士について聞く。 レイアスの指差す先には、大量の血痕と岩に挟まった人間の腕だった。 イリスとレムが負傷した兵の応急処置をしている間、ロイは事態の収束についてを説明する。 軍部の中に他国の者と思われる工作員が潜伏していたこと。 その工作員による計画がこの事態を悪化させた原因だったこと。 目的は不明のまま、容疑者は自害したこと。 レム、ギリアム、ガナンは釈放されたこと。 ロイが皇帝の命令で容疑者の身辺調査を極秘裏に進めていたこと。 ロイはレイアスに肩を貸し、森の入り口へ向かって歩み出す。 しかし、レムはその場に佇んでいた。 「みんなは先に帰ってて頂戴。私は少しだけ残るわ」 「レムさん…!」 「おい、レイアス。無粋だぞ」 「…うふふ。さすがデキる男の言うことは違うわね」 そして、レイアス達はレムだけを残しレイグラードへの帰路を辿る。 その道中、ロイはレイアスに語りかける。 「レイアス…俺を恨んでいるか?」 「…あぁ、少しな」 「そうか。悪かった」 「なんだよ、突然。ロイはいつも来たるタイミングでしか教えてくれない」 「あぁ、そうだな。だが、それはイスリーダを思ってそうしている」 「さすが、デキる男は言うことが違うな」 「そう馬鹿にするなよ。だから、レイアス」 「なんだよ」 「お前も来たるタイミングで構わない。お前がこの事件で知ったことを俺に教えてくれ」 「あぁ…わかった」 レイアスは葛藤した。 それと同時にロイがどこまで知っているのかを計り知れないと困惑する。
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