下・委ねられた真実

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そんな事態を知らないレイアス達。 話は一行がレイグラードに帰還したその日の夜のこと。 急遽、山猫亭では祝勝会として宴が開かれていた。 早々に酒を飲み始めた男達のせいでソフィは厨房とテーブルの往復に追われていた。 「がーはっはっは!ギリアムっお前が連れて行かれた時はヒヤヒヤしたぜ!いてて…」 「まったく…そんな体でお酒は毒ですよ…」 「それより復帰おめでとう!エストちゃん」 「ホントだよー!やっぱりアリーナの受付はエストちゃんじゃなきゃ!」 「おい、お前ら!うちの娘に色目使ってんじゃねぇーぞぉ!」 客を怒鳴りつける怪我人のガナン。 それを心配そうに介抱するエストの姿。 いつものレイグラードだと安心し、笑いあうレイアスとイリス、そしてコロン。 そのテーブルには冷えたドラゴンステーキと野苺のマカロン。 「ソフィさん…なんで俺の料理だけ冷めてるんですか…」 「うふふ」 「みゅみゅう♪」 和気藹々な雰囲気。 そこに現れたのはロイだった。 「ロイ!」 「レイアス。怪我の調子はどうだ?」 「あぁ、だいぶ良くなったよ。それより来てくれたのか!」 「みゅう♪」 「1日遅れたが親友の誘いを無下にはできないしな」 「ロイ…仕事は…大丈夫なの…?」 「あぁ、こっちはある程度の情報があるからな。軍部の機能も一時凍結している。騎士団は陛下の指示待ちだ」 「やっぱり…完全に安心できるわけじゃないんだな…」 「そうだな。明日、俺はゼイオルグさんに会ってくる。レイアス、お前も来るか?」 「いいのか!」 「あぁ、イリス達も協力してくれるか?」 「うん!」 「みゅう♪」 ロイと旅ができることに気分が高揚するレイアス達。 しかし、ロイには秘密があった。 ファメル国の要求である容疑者の取り逃がしや盗品である図書の破損について、ゼイオルグの怒りを買うことをレイアス達には打ち明けなかった。 それを知らずはしゃぎ出す子供を尻目に、ギリアムとレムの大人2人はカウンター席にいた。 「なぁ、レム。今回の事件、お前はどこまで関わってたんだ?」 「…そうね。ある程度のことは予想がついていたわ」 「な、なんで?」 「昔。私がイスリーダ帝国軍で魔術師をしていた頃ね…地形調査で私たちの部隊は遭難してね。それも隊長が」 「ドジな男だな…」 「まったくよ…その男がボロボロで帰還した時、イスリーダの森の奥で”竜を見た”って言ってね」
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