下・委ねられた真実

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ー森最深部ー 大きな竜の亡骸を前に何も知らないレイアスはいた。 「全く…俺は何やってんだよ…」 イリス、コロン、少女を探しにきたはずのレイアスだったが、徒労に終わる。 後悔と己の無力さを痛感した彼は、その場に座り込んだ。 「みんな大丈夫かな…くそっ!戻ろう!」 レイアスは衣服についた土を払うと、来た道とは逆方向に歩みを進める。 その時であった。 その道の奥に荷車を引いた兵士たちがこちらに向かってくる。 「あっ!」 「君は…昨晩の!」 その兵士の一人とレイアスは面識があった。 何故ならば、ここで昨晩のレイアスたちを介抱してくれた兵士だからだ。 「どうして君がここにいるんだ?」 「あ…ちょっと色々と思い違いがあって…仲間を探してて!」 「ここは危険かもしれないんだよ?」 「危険…って?」 「あぁ…これは錬金術師の人が教えてくれたんだけど、この鎮魂晶を悪用するために魔族が現れるかもしれないんだ!」 「そんな…!」 「だから、早く戻るんだ!君一人だけかい?他に誰かを見なかった?」 「いえ…誰も…」 「そうか…荷台に載せてあげたいのは山々なんだが、道中で拾った鎮魂晶が多くてね…!一人でレイグラードまで戻れるかい?」 「来た道で拾ったんですか…あ、はい!大丈夫です!」 そう言うと兵士はにっこりと微笑み、レイアスを見送ろうとする。 少し強引な態度ではあったが自分の身を案じてだと、無理やり納得した。 しかし、彼は今思っている正直なことを兵士に尋ねる。 「あの、その錬金術師の人は…今どうしてますか…?」 すると兵士は悲しそうな表情で答える。 「…処刑が決まったよ…」 「…!!」 「…悪いんだけど、僕も教えて欲しいんだけど…どうして君たちはあの時、この場所に?」 レイアスは焦燥する。 兵士は不思議そうにレイアスの顔を覗き込む。 「おーい…大丈夫かい?」 「…それは本当ですか?」 「困ったね…僕も質問してるんだけど…軍事会議で彼女の持ちうる知識、取った行動は怪しいことばっかりだからね…」 「俺たちは…」 レイアスは自分たちがことの顛末に巻き込まれた事情をすべて話す。 「へぇー。竜の涙を探しに、錬金術師を追って来た…そう言うことだね」 「えぇ…竜の涙が何なのかは分かりませんが…」 「それはこの鎮魂晶に封じ込まれた肉体と魂を解放するためのものだよ。ちなみに、竜の情報はどこで知ったんだい?」
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