下・委ねられた真実

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上空からの踵落とし、それは着地点の地面を粉砕した。 間一髪で少女の攻撃を回避する兵士の表情は、恍惚としていた。 「あははは!すごいぞ!さすが罪深き混血っ!さぁ、次は俺たちを結晶化させてみろっ!あははは」 虫の息で立ち上がるレイアス。 その兵士の発言が常軌を逸することに困惑する。 「…あ、あの!何言ってるんですか!?君もやめてくれ!話し合わなきゃわからない!」 「みゅう!!!」 レイアスの言葉は遠くで届かないためか誰も耳を貸そうとしない。 まるで挑発するようにその兵士は飄々としていた。 「あぁ、そうだな…お前はこの竜に恩でもあるのか?くくく…じゃあ、弔ってやらないとなぁ!」 男は短刀を少女に投げつける。 その隙をついて、男は後ろにある竜の亡骸に向かって短刀を投げつける。 ぐさりと生気のない竜の目に刺さる短刀。 「…貴様ぁ…下種族めっ!」 激昂する少女は自身の頭身より大きな岩を持ち上げる。 少女の華奢な四肢から想像もつかない力を目の当たりにするレイアス。 その驚きは兵士も同様であった。 「あぁ…すごい!あの時ムスクの匂いでわからなかったが、お前だったとはなぁ!そんな力を持ってるとは思わなかった…!」 「…黙れっ…」 少女は岩を兵士に向かって投げつける。 さらりと避ける兵士であったが、兵士の視界に少女はいなかった。 兵士の後ろ、少女は竜の亡骸に刺さった短刀を抜く。 肉からの出血はなく、凝固した竜の血液はべっとりと短刀にこびりついていた。 西からの風。 その風は森のオバナを揺らし、少女の姿を月明かりが照らす。 そして、消えた。 「うぅ…!うぎゃぁあああああ!!」 兵士の唸り声と重い物が地面に落ちる音が森を轟かせる。 地面に倒れる兵士。 その兵士の右腕には先ほどの岩が乗って身動きが取れない状態だった。 さらに左手で出血した右目をおさえ悶絶している兵士の姿。 鮮血を垂らす短刀を地面に捨てた少女は、竜の亡骸の元へ向かう。 「…大老…」 悶絶する兵士は左目で少女を睨みつけながらいう。 「さぁ、やってみろ!証明してみせろ!お前が罪深き混血であることを…!」 少女は祈るような姿勢に入ると、大きく息を吸い、竜の咆哮をあげる。 閃光。 それはレイアス達が森で見た”それ”であった。 まばゆい光の塔は、そこに倒れる瀕死の兵士達は微かに光る鉱石”鎮魂晶”へと変化する。
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