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あまりの光量に目を塞ぐレイアスは兵士の声を聞いた。
「…覚えたぞ…!お前の顔っ…!殺してやる…!必ず殺してやる!!!」
次にレイアスが目を開けた時、レイアスとコロン、そして少女以外は誰もいなくなった。
その光景に兵士が言った言葉を思い出すレイアス。
負傷した体をかばうように、ゆっくりと起き上がったレイアスは少女の方へ歩み寄る。
レイアスとコロンの姿を視認すると、少女の眉間はシワを立てた。
「続けてくれ…」
「…」
「蘇らせるんだろ…家族」
「…」
「悪かった。俺たちが邪魔しなきゃ…もっと早くに会えたのかもしれないのに…本当にごめん…」「みゅぅ…」
「…」
レイアスはあの兵士の言葉がどうしても理解できなかった。
「君は…魔族なのか…?」
「…」
「魔族でも家族くらい居るよな…大切な人を奪う権利なんて…誰にもない…」
「みゅぅ…」
「…」
「でも、この石にだって家族がいたかもしれない…と、思うんだ…」
「…」
「俺は分からないよ。家族なんていなかったから…家族を奪われたら、何をしてでも助けたいって思うものかな…」
「…」
「もしかして、俺たちの国を…襲う…よな…石を奪ったのは…俺たちの国だもんな…」
「みゅぅ…!みゅぅ?♪」
「…」
森の草木に頭を突っ込むコロン。
ガサガサと草木を揺らすようにレイアスの心も揺れていた。
今ここで少女と戦うという選択。
勝てば少女の家族を奪い、負ければイスリーダを襲わせることになる。
そこまでの思考をレイアスはしていたのかもしれない。
結論はまだ出ていなかった。
「みゅう♪」
コロンが森から見つけ出したのは野苺だった。
それをレイアスの手のひらに、少女の手のひらに乗せて、コロンは少女の頭にちょこんと座る。
満悦そうに野苺を口に運ぶコロン。
すると、ブルブルと震えて実を吐き出した。
「みゅぅ?…」
「あははは!コロンは食い意地張ってんな?!」
「っぷ…うふふ…あはは、この時期に実るのは渋くて食べれないよ…」
緊張が緩和した瞬間だった。
初めて聞くその年相応の笑い声にレイアスは安堵していた。
「みゅ!みゅみゅ!みゅう?!」
「そうかそうか、ソフィさんところで食べたのは甘かったから、これも同じだと思ったんだな」
「みゅう!」
その対応に驚いた少女は聞く。
「…この子の言葉がわかるの…?」
「あ?あぁ、まぁ何となくだけど…」
「みゅ!」
「…すごいな…人族の知能は…」
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