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その祈りにも似た力は竜に吸い取られた生命力を補うようにレイアスに力を与えた。
そして、三度竜の波動はレイアスたちを飲み込む。
「くそ…なんて力だ…!だけど、俺は負けない!!」
「…レイアス…大老をお願い…!」
少女の力は全て、レイアスにつぎ込まれると地面へ倒れこむ。
強い信念と少女との絆が遠い過去から英霊を召喚する。
「やってやる…!」
空高く飛び上がる竜。
レイアスの剣が届く距離ではなかった。
しかし、閑雅な藤紅色の髪の英霊は、空の星を結晶が如く変質させる。
その結晶は竜の翼を突き破り、大地に膝まづかせる。
そして、両翼を持つ緑衣の英霊は森の枝木を竜頭のように操り、旋風が如く竜のスタミナを奪う。
怯む竜にレイアスは斬りかかる。
「決めてやる!ソニックスラッシュっー!!」
攻撃を受けながらも竜は大地を踏みしめ、力を蓄える。
畳み掛けるしかない。
その思いが英霊たちにも伝わったかのように、空からは大きな星の結晶魔法が竜を覆い、大地からは竜の身動きを封じるように枝木がまとわりつく。
竜が波動を放つ。
「これで終わりだっ!うおりゃぁああああああ!!」
レイアスの連撃は竜の体を少しずつ、朽ちさせていく。
竜の波動を受けながらもレイアスは竜の頭上へと高く飛翔する。
「エターナル…セイバーーーっ!!」
振り下ろした斬撃は竜の体を真っ二つに割いた。
竜の咆哮が森を震撼させる。
まるでガラスを割ったように、竜の体から鎮魂晶が砕け散る。
「…っ」
レイアスは最後の力を出し尽くすと地面に倒れこんだ。
立っているのもやっとのレイアスを微睡みが襲う。
誰の声なのかわからないがレイアスは淀んだ視界の中で声を聞く。
「あの子なら大丈夫さ」
「あなたに似て聡明ですもの」
「友に礼を言おう」
「ありがとう、そして安らかに眠れ」
その瞬間、レイアスから強い閃光が放たれた。
「…ほぅ。召喚術か…」
脳に直接、語りかけるような声であった。
なんと、そこには大きな竜が鎮座していたのだ。
「竜…?」
「儂を召喚したのはお主だな。お主は…そうか…我が骸、我が娘が迷惑をかけた」
「たの…む…竜の涙…」
「浅はかな者よ。儂を呼ばぬともお主の手中にあるではないか」
「…」
「力の使い方を知らぬとは真っこと滑稽、若き主よ」
「…俺は…止めるんだ…鎮魂晶を…元に戻さなきゃ…」
「戻してどうする主よ」
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