中・闇に消えた真実

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「錬金術の世界では”賢者の石”という物質を用いることで死者を生者にすることができる…また、ある秘儀では魂と死体さえあれば、生者へと復活させることは可能。…どう思いますか、錬金術師さん」 しばらくの沈黙の後、レムは重い口を開いた。 「…その通りよ。その術は死霊術、魔族や精霊族が得意とします…そして、死体さえあれば鎮魂晶の力を代替に魂を宿すことができます…」 「死霊術の条件は?」 「十五夜、つまり月が満ちた夜。オバナと呼ばれる植物と魂と死体、術者は月に祈りを捧げることで死者は再び目を醒まします…」 「オバナはどこに生息しているのですか?」 「…主に森に群生しています」 「十五夜…それはいつですか?」 「…今晩です」 騒然する場内。 しかし、ノモリ博士は続ける。 「原因は不明ですが、この発生した鎮魂晶を使えば、不死者による軍団が手にはいると、言えますね」 「しかし!それはあまりにも無茶苦茶です!例え戦死してしまった者であっても死して尚、戦わせ続けるのは道理に反しています!」 「待ってください…それはあくまでも運用にまつわる話です。私は危惧している。これはこの国の脅威に対する助言です」 するとノモリ博士、今までの彼とは思えない声量で場内に語りかける。 「皆様!これは由々しき事態です!魔族が鎮魂晶を悪用し、不死の軍団によってイスリーダを襲う可能性があるのならば…一刻も早く術者の抹殺と採取場所である森に残った鎮魂晶の保護が必要です!」 一斉に場内は早急な事態だと説得させられる。 ノモリ博士は将官に歩み寄り耳打ち側に囁く。 「これは軍部が騎士団と同等の利権を持てる好機です…鎮魂晶の採取には我が技術班を向かわせましょう。鎮魂晶を一箇所に集めておけば術者もそこを狙って来るはず…そこを仕留めれば手柄は軍部にあります…」 「うむ。早急に取り掛かろう」 その言葉を聞くと、ノモリ博士は兵士の一人を顎で使う。 兵士は敬礼をし、足早に場内を出た。 「なるほど…それは可能性であっても脅威であることは間違いないなノモリ博士」 「えぇ…あとはその術者を殺すのみです」 事態はノモリ博士の策略によって激化していく。 それを見過ごせないのはレムだけではなかった。 「はぁああああい!!すみませーーーーん、もう一つ質問いいですかぁああああ!!」 ガナンであった。
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