中・闇に消えた真実

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「博士。確かにこれは可能性だが看過できることじゃねぇ。でも、それには竜族の結晶化する技術がいるんだろう?死霊術が使える術者も必要みてぇだし、たまたま竜の力で結晶化した石コロを、たまたま死霊術が使える奴が利用しようとして、たまたまもうすぐ満月の夜で、たまたまそこが森だった…なんて言うのは虫が良すぎねぇか?」 「おっしゃる通り。偶然にしては都合が良すぎる話ですね」 「まぁ脅威であることは間違いねぇんだけどよ…」 「問題は竜族の結晶化…そこで再びお聞きたいしたいのですが、八大種族の言語を操る竜についてご存知ないですか?」 「ギルドの依頼で、ドラゴンの討伐は過去に何件かあったが、そんな竜については聞いたことねぇな…」 「情報提供ありがとうございます。ちなみに…錬金術師さんは…?」 狙ったかのようにノモリ博士はレムに訊く。 博士の主導の尋問は将官も口調が強くなるがレムは沈黙した。 「おい!どうなんだ!?」 「…」 「これは昔、グラメニアの文献で目にしたのですが大きな古竜が海を越えて、ここイスリーダに渡った可能性があるのです。もう何年も前の逸話ですけどね」 「…」 「兵の報告では、鎮魂晶が採取された場所に大きな骸があったと。錬金術師さんもご覧になったのでは?」 「…あの竜はすでに亡くなっています…」 ニヤリと笑うノモリ博士。 「”あの竜”ですか…あれ、竜だったんですね。報告を聞く限り、巨鳥だと思いましたが…」 「おい!答えるんだ!」 「…」 「まぁ、今はいいでしょう。少なくとも死霊術の素材の一つがあの森にある以上、脅威であることは確信できます。今取り組むべき問題は、”あの竜”が結晶化を行い、絶命し誰かが利用を企んだのか…もしくは…竜族と魔族が結託したか…さぁ、話は変わってくるでしょう」 場内が一瞬にして凍りつく。 「なんと…!」 「仮説ですが、竜族があらゆる生命を鎮魂晶に変え、魔族が死霊術を使い、条件さえ整えば不死の量産は可能です。死体は…まぁ我々や他の生命を殺せば作れるわけですし。はたまた、その両方を扱える術者でもいたら、今後のイスリーダはますます危険だと言えるでしょう」 「…!」 ノモリ博士が放った一言はまさにレムにとってトドメであった。 「そんな人、ご存知ありません?錬金術師さん」 「…!!」 将官が追求しようとした時、ノモリ博士は再び声を大にして主張する。
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