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ー過ぎし明朝、ギルド・レイグラード支部ー
レイグラードに帰還した兵士たち、そしてレイアス達。
ガナンが不在であることにすら気付かないまま、仮眠というには粗末な休息を取っていた。
少女はイリスのベッドで眠っていた。
「レイアス…どうしよう…」
「みゅぅ…」
「あの子のことも心配だし、レムさんやギリアムさんも王城にいるだろうけど…」
「そうだね…行ってみる?」
「でも、あの子を放っておけないよ…」
「みゅぅ…」
抱える問題の多さ。それに対応するには2人では限界があった。
ムードの重圧に耐えかねたコロンはふわふわと何処かに飛んで行ってしまった。
「俺がレムさんを追いかけた後のことなんだけど…」
「うん」
「レムさんが何かを石にかけると、それがミキュオンに変わったんだ」
「石って…鎮魂晶って鉱石のこと?それがミキュオンに?」
「そう。それでイリス達も聞いてたかも知れないけど、レムさんは鎮魂晶には”生物の生命力を力として石に宿す”って…もしかしたら、あの森で見た鉱石って全部、様々な種族が変化したんじゃないかって」
「そんなことが…」
「それにレムさんの”死者を生き返らせる”って言葉も気になるんだ。”理から目を背けてはいけない"…」
「”守るために力を使いなさい”…あの人、家族を守るためだって…」
「俺たちが邪魔…しちゃったんだよな…」
「でも、何をしようとしてたのかな…」
「あの子が目を覚ましたら聞いてみよう」
「大丈夫かな…」
「うん…ところで、イリスたちはどうしてあの場に居たの?」
「レイアスが行っちゃった後、誰か来たと思って隠れたの。それがロイにそっくりだったから…つい…ごめんなさい」
「イリスが謝ることないよ…」
窓の外から聞こえる喧騒。
それが非日常的なイスリーダの異常事態であることは2人とも察していた。
イリスは窓の外を見つめていた。
「レイアス。行ってきて。レムさんやギリアムさんの側に居てあげないとダメな気がするの」
「でも…」
「レイアスは一人で全部やろうとしている。でも、今は何も出来ていない」
「あはは…そう…だね」
「あの人の側には私がいるから」
「…ありがとう」
レイアスは軍事会議に立ち会えるようロイに掛け合うため、王宮へ走った。
それから数分後、イリスのいるギルドのドアを開ける一人のシェフの姿があった。
「見つけた!あれ…レイアスは一緒じゃないの?」
それはソフィであった。
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