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「おっと!本当に来やがった!」
言葉を聞いたレイアスは、市民の視線の先に目をやる。
そこにはお粗末な武装をしたレイグラードの市民達がこちらに向かって前進していた。
「俺たちは戦うぞ!」
「「おーっ!!」」
彼らはレイグラードの仲間のために武器をとって戦うことを選んだのだ。
それが自分たちの国であろうと仲間を守るための選択肢だった。
「あぁ…そうだ!」
レイアスはレムのあの時の言葉を思い出したのだ。
「待ってくれ!」
武装した市民達と困惑している門番の間にレイアスは割って入った。
「少しだけ待ってくれ…!武器を取る理由はわかる…けど、間違ってる!確かにこの国が何を考えて俺たちの仲間をそうしたのかはわからない…」
「おい!現に連れて行かれてるんだぞ!」
「あぁ、そうだ…。ギリアムさんは…ガナンさんは…レムさんは…無実だって信じてる!俺は仲間を信じてる!...もう一人、俺の仲間が俺たちのためにこの王宮の中で戦ってる。俺がこの国で最も信頼している男だ…その男から説明がある!だから…もう少し待ってくれ…頼む」
何の根拠もないがロイを信頼しての演説だった。
肩で息をするレイアス、唾を飲む門番。
武装した市民の一人がその場に座り込んだ。
「信じているからこそ…裏切られた時の反動はでかいぞ。俺たちも混乱しているんだ…しばらく待ってやる」
その言葉にレイアスは頭を下げた。
そして、イリスと少女が待つギルドへ走り出した。
「俺は俺を信じる。信じたものを守る!あの子もきっと大切な何かを守るために…戦ったんだ」
しばらくして、ギルドについたレイアスは驚愕する。
「いない…!もしかして、森に戻ったのか!?ちくしょう!」
ちょうどその頃、イリス達が山猫亭にいることも
王宮の門が開いたことも、レイアスは知らない。
ーレイグラード、山猫亭ー
少女とイリス、コロンを店に招き入れたソフィ。
開店準備中の山猫亭には、先客がいた。
「おかえりなさい、皆さん」
「エストさん?」
そこに居たのはイスリーダの闘技場で受付をしているガナンの娘エストであった。
「イリスさん!どこにいらっしゃったんですか?レイアスくんは…あれ…その方は?」
イリス自身も少女の素性を知らない。
「えっと…」
あたふたとしているイリスは言葉に詰まる。
それを知ってか知らずか、厨房で手際よく作業しながらソフィが代わりに回答する。
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