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「…すみません」
「全くだ。俺との約束をすっぽかして、そのサイテーな男と夜の森林で逢瀬を重ねるとは…」
「!?」
その声はレイアスの後ろからだった。
レイアスの盟友ロイの姿がそこにはあった。
「ロイ…!!お前、どうしてこんなところに!?」
「レイアス、それはこっちのセリフだぞ」
「三角関係ってやつかしら…モテる女は罪ね」
「その罪な女のせいでギリアムが連行されてるかもしれないんだぞ」
「そう…」
「お、おい!レムさんにロイ!どうなってるんだよ!!」
レイアスの混乱具合に拍車をかける事態であった。
しかし、その問いかけも二人は答えようとしなかった。
「国外逃亡の容疑、俺でも庇いきれないかもしれないぞ」
「逃げも隠れもしないわ。どうする?」
「付いてきてもらう」
「エスコート、よろしくね」
ついにレイアスの混乱は怒りへ変貌する。
「…わからねぇよ!!一体何がどうなってるんだよ!ギリアムさんが連行?!ロイ!いいのかよ!?」
「…なぁ、レイアス。お前はこの事態にどれだけ関わっている?」
「関わってるって…不思議な鉱石が見つかって、それについてレムさんなら何か分かるかもって思って…」
「そうか…」
「ねぇ、ロイ。もう少し話してあげたら?レイアスの親友として…」
ロイは大きなため息をつくとレイアスとの目線を外した。
「お前みたいに単純で素直なやつばかりじゃないってことだ。今、この事態は新種の鉱石の国家的規模による軍事利用に話は展開している」
「な、なんだよそれ…」
頭の整理の追いつかないレイアスにロイは続けて話した。
「だが、この話は皇帝皇女の一存じゃない。帝国軍上層部の技術者連中が指揮を取っている。奴らとしては軍事利用できるという確固たる根拠を求めているんだろうな。そこで他方面からの見解としてレムが招集された訳だが、今日の午後に来るはずが一向に来る様子がない」
「もしかして、レムさん俺たちを追いかけるために…?」
「…続けるぞ。技術の独占・手柄の横取りを恐れた奴らは、レムの緊急指名手配に加え、鉱石の加工に長けているギリアムさんの身柄の確保、時間が経てばここ近辺の鉱石の回収の段取りを強行するだろうな」
重い空気による沈黙の後、レイアスは問う。
「この後、レムさんはどうなんだ?」
「軍事会議にかけられるだろう」
「あら、魔女裁判じゃなくて?」
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