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ルゥの制止も聞かず街を飛び出したレイアス達であった。
「もう!レイアスは話を最後まで聞かないなぁ、レムは…」
ー黄昏、道中の雪原ー
「やっぱり寒いな…イリス、コロン、大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
「みゅぅ!」
「コロンは温かそうでいいなぁ。少し休みたいけど魔獣も少ないし、この雪原を抜けてからにしよう!」
「うん!」
「みゅぅ?!」
疲労も溜まる道中であるが一歩一歩、着実に目的の場所へと迫っていた。
「きゃあっ!」
吹雪の荒む音が支配する中、響いたのはイリスがつまずき転倒した声だった。
「大丈夫か!?...やっぱり休憩した方が…」
「みゅぅ?」
「違うの、レイアス。これ」
イリスが手に取ったのは自身の足が取られた”もの”だった。
「これって…」
それは微かに輝き放つあの鉱石にそっくりだった。
「どうしてここに…。ギリアムさんのメモのところまでまだ先なのに…」
「みゅぅ?」
「わからない…でも、俺たちの目的はレムさんが無事かどうかだ。わからないのは悔しいけど、まずはレムさんを探そう!」
「そうだね。」
「みゅぅ!」
「あのさ、レイアス」
「イリス、どうかした?」
「レムさんのこと、気になるの?」
「な、なんだよ急に!き、気になるよ!レムさんは謎が多い人だけど悪い人じゃないし、頭もいいし凄く物知りだしさ!」
「…」
「そ、それに!」
「それに?」
「…俺、孤児院出身だからさ。人との繋がりがあるって凄く幸せだなって思うんだ。だから、その繋がりが途絶えないために周りの人が困ってたら助けたいって思うし、居なくなったら…だから例え死んでも何とかしたい…多分レムさんもその一人なんだと思う」
「そうだね。ごめん、変なこと聞いちゃって」
「いいんだ。それより急ごう!」
「うん!」
程して吹雪は止み、逢魔が時が訪れようとした。
ー逢魔が時、北東の森林入り口ー
レイアスたちは順調に邁進していた。
さらに運よく魔獣の遭遇も少なく疲労の蓄積は多くなかった。
レイアス達は休息を取り、星が輝きだした空を見上げていた。
「綺麗...」
「みゅぅ?!」
「すっごいなぁ…イスリーダで見る夜空とは違うみたいだ」
「どうしてだろう…同じ空なのに」
「昔、ロイが何か言ってたなぁ…街が明るいとその明かりのせいで、勝手に目が光の加減を調整して本来、見えるはずの星の光を見えなくしてるって」
「ここは街の明かりがないものね。レイアスは物知りだね」
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