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「ロイの受け売りだよ。俺も頭良くなりたいな…」
「頭が良くなってどうするの?」
「どうするって…誰かの役に立ちたい…かな」
「もう誰かの役に立ってるよ。今だってレムさんのためにここに来てる。頭が良くなくてもレイアスは十分…」
「あはは…ありがとう…」
閃光。星を眺めがなら談笑するレイアス達の見上げていた少し下、星空の輝きを全て消し去る様な強い光が地面から突き上げて光った。
「森の深部だ!行こう!イリス、コロン!」
「うん!」
「みゅぅ!」
森林を進むレイアス達。その異変に全員が気づいていた。
「ねぇ、レイアス」
「うん。イリス…やっぱり少し変だ」
魔獣が少ない。そして、大地に点々と光る鉱石。まるで夜空を射影したような光景であった。
その鉱石の異なる点は、これまで見てきた物よりも強い光を帯びていたのだ。
レイアスの眼前に一人の少女が現れた。
「レイアス、危ない!!」
イリスが咄嗟に叫んだ声と同時にレイアスの体は後方に吹き飛んだ。
「…邪魔させない」
「ま、待ってくれ!」
「…邪魔は…させない!!」
レイアスの声は届かない。その少女が握る武器は明確な敵意を示していた。
見た目は少女の形をしているが、少女が飛びかかる際に蹴った地面は大きく地割れしている。
強靭な脚力を使った少女の攻撃、レイアスは精神力の限界まで避けることに専念していた。
「頼む!待ってくれ!俺たちは…っ!」
弁解しようと口を開いたレイアス、少女はその”隙”を見逃さなかった。
「うぅ…!!」
「レイアスっ!!」
「みゅぅ!!」
瞬く間に突き飛ばされるレイアス。そして、イリスがレイアスに術を唱えようとした時、攻撃の矛先はイリスへと向かっていた。
「イリスーーーっ!!」
次の瞬間であった。
「ーアルティモレスピオ!」
星空を覆うほどの黒い魔術が少女を包む。敵を視認できないと察した少女は体勢を整えるため、レイアス達と距離取り、間合いを測る。
「…邪魔させない…」
「あら、邪魔するつもりで来たんだけど…」
妖艶な声と禍々しいオーラを纏った姿が森の影から現れる。
「「レムさん!!」」
「全く、心配させちゃう子たちね。ここからは大人の時間よ。立てる?」
「…はい!...でも」
「女には手を出せない?」
「そういうことじゃなくて…!俺たちはあの子に危害を与えるつもりは…」
「そう…。でも、あの子は品もなく私たちに敵意を丸出しよ」
「でも…」
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