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「戦いなさい。守るために」
「…あの時、レムさんが助けてくれなきゃイリスは…」
レイアスの葛藤。理由のなく戦うレイアスに対して明確な敵意を持つ少女。
「レイアスっ!!」
「みゅぅ!!」
ー 人との繋がりがあるって凄く幸せだなって思うんだ。だから、その繋がりが途絶えないために周りの人が困ってたら助けたいって思うし、居なくなったら…だから例え死んでも何とかしたい… ー
「そうだ!イリスを守るために戦うんだ!」
「まだまだお子様ね…。それじゃあ、私は心配され損じゃない」
「ど、どうしてそれを!」
「話はあと。来るわよ」
「「はいっ」」
「…邪魔させない!邪魔させやしない!!」
レイアスの攻撃に対し、凄まじいスピードで武器を振るう少女の猛攻には隙がなかった。
しかし、レイアスの太刀を避ける少女を執拗に追うレムの攻撃。
ダメージを受けるレイアス。回復でサポートするイリス。
長期戦では勝ち目がないと判断した少女は距離を取り、まるで竜のような咆哮をあげた。
「な、なんだこれは…!」
「まずいわね…たたみかけるわよ!」
「はいっ!」
少女の凄まじい覇気に生命力を奪われそうになるレイアス。
しかし、間一髪で二人の奥義が少女を射止めた。
「か、勝った…イリス、大丈夫か?」
「うん」
「…わ…私は…死なない…」
そう言い残すと少女は地面に倒れた。
「哀れな姿ね…少し寝てなさい」
そういうとレムは少女に粉のような物をふりかけた。
それは鼻をつまみたくなる強い麝香のようなものであった。
「レムさん、それは?」
「しばらくの間、魔力を鎮める媚薬みたいなものよ。大人専用だけど」
「媚薬…?大人専用…?」
「おい、イリス…あんまり深く聞いちゃ…」
「うふふ。子供には効きすぎるってことよ。まぁ…この子に効くって保証はないんだけど…」
「レムさん…俺は一体、何が起こってるのか…」
「詳しい話は私の店でじっくり聞かせてあ・げ・る。もちろん二人っきりでね」
「…」
イリスの冷たい視線がレイアスを見る。
「みゅぅ!!」
「痛っ、なんだよコロン!」
「今話したいのも山々だけど、まだね」
余裕あるレムの表情が一変し、深刻そうに森の奥を見つめた。
「さぁ。ここからは大人の出番だから二人はここでこの子を見てて頂戴」
「…大丈夫なんですか?」
「どうかしら…でも、この子に来られちゃ、もっと困るの。だからお願いね」
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