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女の先生が廊下を歩いてくる。
保健の先生だ。
「君たちどうしたの?
三年なら集会の途中でしょ」
「はい」
と隼人が返事をする。
保健の先生は秀くんの顔をのぞき込んだ。
「具合悪くなった?」
「トイレに来ただけ」
「それならいいけれど。
まだ登校するには早いと思うの。
そんなに無理しなくていいのよ」
「先生、ぼやぼやしてたら夏休みになっちゃうよ。
俺ものすごく元気だし」
今度は担任の先生が現れ、
「そこの三人、トイレ行ったなら戻れ」
と離れたところから大声で言われた。
「うわー担任が来た。早いとこ逃げようぜ」
と小声で言った秀くんは隼人に負ぶってもらう。
担任に向かって、
「具合悪いんです。帰ります」
と秀くんは明るい声で元気に言った。
調子のいいことを言った秀くんに、
保健の先生が笑いかけると、
秀くんも保健の先生を見てヘラヘラと笑った。
これでは少しも具合悪そうに見えない。
担任に呼び止められるのを恐れながら、
私たちは小走りで玄関まで逃げ出した。
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