アンドロイドやめたい

3/5
前へ
/5ページ
次へ
「私はつまらない存在だ」 天井を見上げ、シーリングファンを眺めた。  私はこの世界の部品にすぎない、そのために作られたんだ。  いや、部品ですらないのかもしれない。私一人いなくなったって世界は回るのだ。 「私はあなたと話していて、楽しいですよ」 彼女は笑いながら言った。そして、やってきたコーヒーを「私は飲めないので」とこちらに差し出す。 「あー馬鹿にしたなぁ!もういい。死んでやる、ブッ壊れてやる!!」 私は声を荒げた。らしくない事をしたが、割と気分はいい。 「元気じゃないですか。っていうか、びっくりするほど」 彼女は目を見開いた。 「あー。やだなぁーアンドロイドみたいな生活。アンドロイドやめたい」  コーヒーを一口飲み、私がそう呟くと、彼女はむっとして目を光らせた。  文字通り、緑色の機械の瞳を。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加